スケルトンと居抜きの違いとは?工事費用や向いているタイプについて解説

スケルトンと居抜きの違いとは?工事費用や向いているタイプについて解説

テナントの賃貸借契約を検討している方のなかには、それぞれの物件タイプの違いを知りたい方もいるのではないでしょうか。
また、初めてのテナント契約の場合、物件のタイプの違いがわからず不安になることがあるかと思います。
こちらの記事では、スケルトンと居抜きの違いや工事にかかる費用なども解説します。

スケルトンと居抜きの違いとは

スケルトンと居抜きの違いとは

スケルトンと居抜きの違いとは、以前に入っていたテナントやお店の設備がそのままの状態で残っているかどうかの違いです。
スケルトンは、内装が施されていない状態の物件で、基本的な建物の構造部分だけが完成している状態の物件です。
基本的にコンクリートの壁や柱のみの状態なため、内装の工事は最初からおこなう必要があります。
おもに、商業施設やオフィスビルで使用される形態で、テナントが入居したあとに自分たちの必要なものを取り揃え、内装を自由に設計したり施工したりできます。
すべて自分好みの内装にできるため、デザインやレイアウトにこだわりがある方にはスケルトンがおすすめです。
しかし、何もない状態から内装を作り上げる必要があり、その分の費用がかかる点はデメリットとなります。
テナントの賃料を払いながら、工事費はもちろん、電気やガスなどの設備を整えなければなりません。
また、スケルトンで借りた場合は、スケルトンにして返すのが基本のため、退去時には原状回復工事が必要です。
このように、原状回復工事にかかる費用が必要になるため、入るときも出るときもお金がかかります。
ほかにも、開業までに時間がかかるケースがあり、店舗の工事に約1~2か月、打ち合わせなどを含めると最低3か月ほど時間がかかるでしょう。
一方、居抜きとは、以前のテナントの方が使用していた内装や設備がそのまま残された状態の物件です。
とくに、飲食店や美容室、小売店などでよく見られる形態で、内装や水回りが残されているため工事費を抑えられます。
ただし、設備が残っていて工事は必要なくとも、修理が必要な場合や使い勝手を良くする場合は費用がかかるでしょう。
なかには、まったく使えないものが残されている場合もあるため、テナント契約を結ぶ前に設備を確認しておきましょう。
居抜きのメリットは、あらかじめ設備が残っているため、コストを抑えて店舗の開業ができる点です。
内装や残された設備をそのまま使用すれば、工事費を抑えられるため、初期費用をできるだけ節約したい方には居抜きがおすすめです。
また、レイアウトやデザインを考える必要がなく、それらの打ち合わせをする時間や手間が省けることで開業までの時間も短縮できます。
しかし、レイアウトが決まっているため、デザインの自由度は下がります。
開業後だとレイアウトを変更するのが難しい場合があり、現状のものを作り変えようとすると、かえって費用がかさむ可能性もあるため注意が必要です。
ほかにも、以前に入っていたテナントのイメージを引き継ぐことになるというデメリットもあります。
以前入っていたテナントが評判の良い店舗ならまだしも、評判の悪い店舗だと悪いイメージを引き継いでしまう可能性があります。
短期間で何度も店舗が変わっているような場合は、立地が悪かったり、テナントに問題を抱えていたりするかもしれません。
以前のテナントの様子について、テナントを取り扱っている不動産会社に確認したほうが良いでしょう。

スケルトンと居抜きの工事にかかる費用

スケルトンと居抜きの工事にかかる費用

スケルトンと居抜きにかかる工事費は坪単価などによって変動します。
それぞれの物件にかかる工事費を解説するので、工事をおこなう際の参考にしてください。

スケルトンの工事費用

スケルトンの工事費は1坪で平均約30万~50万円以上といわれ、仮に20坪の物件の場合、600万~1,000万円以上の計算になります。
1から工事をおこなうため、内装の自由度が高い反面、内装工事にかかる費用は高くなるでしょう。
基本的な工事内容は壁や床、天井の仕上げなどがあり、材料費と施工費がかかります。
また、使用する壁材や床材、天井材の選択によっては、費用が変わるため注意が必要です。
ほかにも、塗装工事や壁紙貼り、インテリアデザイナーや建築士への依頼料などの費用もかかります。
設備工事に関しても費用が必要になり、エアコンや換気設備などの空調設備にかかる費用も考慮しなくてはなりません。
電源コンセントや配線工事にかかる費用、トイレやキッチンなどの水回りに関連する、給排水工事にかかる費用も考慮する必要があります。

居抜きの工事費用

居抜きで開業する際にかかる工事費は、1坪で平均約15~30万円とされており、スケルトンと比較すると工事費は抑えられます。
しかし、あくまで以前のテナントの内装をそのまま利用する想定での金額のため、大規模な内装工事をおこなうと工事費が高額になるケースもあるため注意が必要です。
さらに、開業する業種によっては改装や内装の調整が必要になる場合もあり、居抜きでも内装工事の内容で金額が変動するでしょう。
居抜きの場合、既存の設備を利用する場合でも設備の点検や修理が必要なため、修理や点検に伴う費用がかかります。
また、照明器具の交換や、場合によっては照明器具を増設する必要もあります。
家具や什器の調整も必要なため、ご自身の店舗のイメージに合わせて、家具や什器の追加や配置を考えなければなりません。
ほかにも、店舗の看板やサインの設置や交換も必要になります。

スケルトンに向いている方と居抜きに向いている方

スケルトンに向いている方と居抜きに向いている方

スケルトンと居抜きには、それぞれメリット・デメリットがあるため、比重を何に置くかで決めましょう。
それぞれに向いている方を解説します。

スケルトンに向いている方

費用や時間、手間を惜しまずに自分の理想の店舗を作り上げたい方は、スケルトンに向いているといえるでしょう。
スケルトンならカスタマイズ性を重視できるため、自分のビジネスやブランドのイメージに合わせて独自の内装やレイアウトが作れます。
また、2店舗目や3店舗目の出店でノウハウをお持ちの方や店舗の明確なイメージがあり、それを曲げたくない方にもおすすめです。
ほかにも、自分のデザインにこだわりがある場合、内装の細部にまで自分の好みを反映できます。
壁紙や床に使用する材料、照明などの細かい部分まで自分で選んで設計ができるため、デザインにこだわりがある方にとってスケルトンが好ましいでしょう。

居抜きに向いている方

初期費用を抑えて開業したい方や新規開業で店舗設計に関するノウハウに不安がある方は、居抜きがおすすめです。
以前入居していたテナントが使用していた内装や設備がそのまま残されているため、内装工事や設備導入にかかるコストを大幅に削減できます。
また、内装工事の期間を短縮して、早く開業したいと考えている方にも、居抜きはおすすめです。
あらかじめ内装や設備が整っているため、初期費用を抑えられるだけではなく、元からある設備を使用すれば早く開業することができます。
ほかにも、以前に入っていたテナントと同業種の場合も居抜きがおすすめです。
飲食店であれば、厨房設備やカウンターなどがそのまま使えるため、以前のテナントと同業種の方は有利になります。

まとめ

スケルトンと居抜きにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
どちらを選択するにしても、以前入居していたテナントの様子などを不動産会社に確認しておくのがおすすめです。
工事にかかる費用を考慮したうえで、物件の選択をしましょう。