不動産売却後に届く「お尋ね」とは?その確率や内容・対処法をご説明
家や土地を売却したあとに税務署から「お尋ね」と書かれた封書が届く場合があります。
たいていの方は驚いてしまいますが、これは税務調査ではありません。
今回は、税務署からこのような文書が届く仕組みや目的、届く確率や内容、対処法を解説しますので、封書が届いた方はご参考になさってください。
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不動産売却後に届く「お尋ね」とは? その確率と確定申告との関係
「お尋ね」と呼ばれる文書(行政指導)とは、不動産を売却した方、相続や贈与で金を受け取った方などを対象に、税務署から送られてきます。
届く時期は、不動産を売却した翌年の春頃から秋頃など、人によってばらつきがあり、売却からおおよそ半年~1年以上経過して送られる文書です。
そもそも、不動産を売却した際は所有権移転登記をおこなう必要があるため、移転登記の状況を常に把握できる税務署は不動産を売却した方が誰なのかすぐ分かります。
対象者の抽出・選定の方法や基準を税務署が公表していないため届く確率は不明で、一説では無作為に選んでいるとも言われています。
確定申告をおこなわなければいけない方もそうでない方も関係なく届いており、何をおこなったから対象になるといった明確な決まりはありません。
とくに、不動産を売却した翌年に確定申告をおこなっていない方に届く場合が多く、これは税務署が本当に利益がなかったかどうかを調べるために対象になっているようです。
不動産を売ったとき、購入価格よりも高く売れたら利益(=所得)があったとみなされ、不動産の売却益(譲渡所得)には譲渡所得税が課せられます。
売却益がなかった方は、確定申告で譲渡所得税が発生した旨を知らせる必要はありませんが、通常の不動産取引には多額のお金が動くものです。
そのため、お金を動かした方(売主)には多くの利益が入ると認識されているために、税務署が確認しているだけの文書となります。
受取主の税率や利益などが確定申告が未提出で分からないから「不動産を売却して本当に利益がありませんでしたか」と税務署の確認だと理解しておいてください。
また、書面ではなく電話での「お尋ね」もときどきありますが、どちらとも確認のためにおこなわれているため、慌てる必要はありません。
ただ、疑われているのは気持ちの良いものではないため、売却益が出なかった場合も確定申告をしておくと税務署からの連絡の可能性が減るため安心です。
一方、売却益が出ていたにもかかわらず、確定申告をしなかったり、確定申告をしなければいけないのを知らなかったりする方もいらっしゃいます。
文書が届いたら税務署に連絡して確定申告をおこなわないと、税の加算や延滞税が発生し、さらには税務調査が入る可能性があることを把握しておきましょう。
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不動産売却後に届く「お尋ね」の内容
不動産を売却した際の税務署からのお尋ねはあくまで法的な拘束力のない事実の確認で、回答しなくても罰則はありませんが、主な内容は次の3つになります。
●売却された不動産の情報
●売却された不動産の購入代金
●売却された不動産の譲渡価格
回答に誤りや計算間違いなどがないように算出するため、まずは不動産取引で用いた書類(契約書・領収書・預金通帳)を準備して回答に取りかかりましょう。
譲渡所得の計算
建物の譲渡所得は、簡易的な計算式を用いると「建物売却額ー(建物購入額+建物購入のために要した費用)ー償却費相当額」で算出できます。
償却費相当額は「(建物の購入額+建物購入のために要した費用)×0.9×償却率×経過年数(建物の所有年数)」で求められます。
償却率は売却した建物の構造によって異なり、木造は0.031、木骨モルタルは0.034、RC/SRC造は0.015が償却率です。
また、骨格材の肉厚が3mm以下の軽量鉄骨造になると0.036、骨格材の肉厚が3mm超4mm以下の軽量鉄骨造では0.025となります。
ただし、相続した不動産を売却した場合などでは、被相続人による購入額が不明のケースもありますが、譲渡所得を計算する必要があります。
購入額不明の不動産の譲渡所得の計算式は「不動産の売却額-(不動産の売却額の5%+不動産売却に要した額)」を用いてください。
たとえば、父親や母親などの被相続人の土地がいくらで購入したか分からず、100万円の費用をかけて1,000万円で売却した場合の譲渡所得は以下のとおりです。
「1,000万円ー(土地売却額の1,000万円×5%の50万円+土地売却に要した100万円)」となり、譲渡所得は850万円となります。
このように、建物の譲渡所得は償却費相当額が含まれているため、長年所有していた建物を購入額より若干低い程度か同程度で売ると、譲渡所得が発生するため注意しましょう。
「お尋ね」に回答をしなかった場合
税務署からのこのような質問を無視すると、再度お尋ねが届き、さらに無視し続けると電話がかかってきて、同じ質問を受けなければいけなくなります。
たとえ回答をしたとしても、虚偽の記載やあいまいな回答は税務署に怪しまれてしまい、税務調査で申告漏れとみなされて追加徴税を請求されるかもしれません。
また、確定申告で内容に不備があった場合は修正申告などを求められます。
納めるべき所得税に無申告課税と延滞税が課される場合がありますので、きちんと対応しましょう。
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不動産売却後に「お尋ね」が届いた場合の対処
最初に、確定申告の必要性の有無を調べる必要がありますので、譲渡所得を求める計算式でプラスとなった方は、以下を参考に自分が当てはまるかを確認しましょう。
不動産売却によって譲渡所得が発生した方と、税金の特例を利用したい方です。
譲渡所得が発生した方は基本的に確定申告をする必要がありますので、管轄の税務署ですぐに期限後申告をおこなってください。
ただし、不動産の売却による譲渡所得がない場合(計算結果がマイナス)や税金の特例を利用しない場合は、確定申告の必要はありません。
確定申告は、一般的に、1月1日~12月31日の所得を翌年の2月16日~3月15日の間に申告します。
しかし、未申告のまま過ごすと無申告加算税や延滞税などが発生する場合があります。
これらの税加算は、納税の意志があって確定申告を忘れた場合と1か月以内に期限後申告をおこなった場合に、免除される可能性があるのです。
マイホームを売却した方は3,000万円の特別控除が利用できますが、自分で控除を含んで計算をするのではなく、確定申告にて特別控除の申請をおこないましょう。
ただし、譲渡所得が発生した方のうち、給与総支給額が年間2,000万円以下の会社員で、譲渡所得を含めた給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。
このように、税務署からの尋ねられたらできるだけ早く自発的に対応しておかないと、時間の経過とともに追加で支払う税金が増えていきます。
専門用語が並ぶ「お尋ね」を読んで自分で判断ができない、確定申告の経験がなく不安を感じた場合などは、税理士などの専門家に頼るのも選択肢の一つです。
税理士には、書面添付制度と呼ばれる権利があり、税理士に依頼すると申告書にきちんと申告している旨を記載した書面をつけてくれます。
こうしておけば、税務署が文書の回答に疑問を持った場合、税務署は税理士と連絡を取っていくため、トラブルになるリスクが軽減できるはずです。
罰則のない現段階で、専門家の意見を聞きながら正確な計算と正しい申告をおこなっておくと、後々の税務調査に発展せずに安心して対処ができます。
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まとめ
税務署から届く「お尋ね」とは、不動産を売却した方が正しい確定申告や税金を納めているかを確認している文書で、届く確率は不明です。
必要があれば期限後申告を済ませなければいけませんが、文書の回答に不安がある方は税理士などの専門家に頼ることも選択肢の一つです。
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